岩手県、磐井川のほとり。清流と手つかずの大自然。この立地を活かして、思う存分に楽しみたい。
建て主の要望である。何の障害もなければ、南に向かって大きく解放したであろう。
ところが、まるで南の方角を拒むように、奥行き5mほどの空き地があった。この方角を開放すると、先々、何ができるか分からない。
そこで考えた本間さんの狙い。南の方向を意識させずに、いかにして南東への強烈な指向性を持たせよう。
とった手法は、建物の内外を貫く大きな壁。ガルバリウムの金属の箱(建物)に、ヒノキの壁を斜めに大きく貫通させたのである。
さらに、斜めの壁に沿って設けられたデッキが、内から外への連続した空間を誘っている。
このように開かれた空間でありつつ、外部からの視線を配慮するために、敷地の高低差を利用した。
敷地は道路より85cm高い位置にある。一階の床の高さを敷地から56cmの高さに設定。デッキへつながる茶の間を、さらに40cm高くして、堀ごたつをつくった。
茶の間の床と道路の高低差は、約180cm。外部からの視線を外した、プライベート性の高い空間となった。
階段を上がってすぐのホールは、ご主人の書斎としての利用を想定。絶景を堪能できるスペースとなっている。
ホールから吹き抜けを介して望む景色は、ビューポイントを磐井川に絞っている。
また、縦型のスリット窓からは、磐井川の美しい部分のみが切り取られ、目に飛び込んでくる。ピクチャーウィンドウとしての仕掛けが心憎い。
家族構成 | 夫婦 子供2人 |
建築場所 | 岩手県一関市 |
敷地面積 | 301.52㎡(91.20坪) |
延床面積 | 133.32㎡(40.33坪) |
構造 | 木造2階建(在来工法) |
断熱材 | アイシネンフォーム |
外部建具 | 樹脂複合アルミ断熱サッシ |
竣工年月 | 2002年10月 |
関連 | 「イエヒト 2007.12月号」より転載 |