許容応力度計算

許容応力度計算~安心して住み続けられる家とは~

熊本地震が教えてくれたこと

2016年に発生した熊本地震。
熊本県益城町では震度7の激震が2度発生しました。

日本建築学会では、益城町で悉皆しっかい調査(調査対象物件をもれなく調査する方法)を行い、木造の建築時期別の被害状況をまとめました。

日本の耐震基準は、

  • 旧耐震基準(1981年5月以前の建築物)
  • 新耐震基準(1981年6月~2000年5月まで)
  • 2000年基準(2000年6月以降)

このように分かれています。

倒壊・全壊・半壊等の被害が旧耐震基準で9割、新耐震基準で8割、2000年基準でも4割ありました。

2016年7月1日 益城町安永地区の状況

しかし、2度の激震に遭ってもほぼ無被害な建築物がありました。

町内の16棟あった耐震等級3相当の住宅のうち、2棟に軽微または小破の被害が遭ったものの14棟が無被害だったのです。
2000年基準の築浅な建築物の被害は住宅業界を震撼させましたが、改めて耐震等級3相当の住宅の強さが証明されたのです。

耐震等級3相当の必要性

日本では震災に遭うたび建築基準法を改正し、耐震技術の向上に努めてきました。
でも、建築基準法の耐震性能は最低限の基準だとご存知でしたか?

実は、建築基準法が想定している耐震性能は、数百年に一度発生する地震に一度だけ耐えられれば良いもので、震災後にはもう住み続けることはできません。

そんな地震に遭遇することはないと思うかもしれません。でも、阪神・淡路大震災以降、地震の活動期に入ったと言われるこの日本では、いつどこで起きてもおかしくありませんし、実際に起きています。そこで、建築基準法を割増した考えが必要なのです。

せっかく家をつくるなら、大地震が起きても住み続けられる家にしたいもの。
熊本地震が証明しているように、耐震等級3相当が目安になります。

リフォームの耐震

リフォームにおいてはどうでしょうか。
もちろん、耐震改修を行うなら耐震等級3相当を目指すべきです。しかし、行政の木造住宅耐震改修工事における補助金の対象は、何故か耐震等級1相当でも良いことになっています。
行政が助成金を出してまで推奨する耐震改修が、大地震後に住めなくなるものを対象にしているのは、理解に苦しむところです。

しかし、リフォームにおいて耐震等級3相当にするのは容易なことではありません。
本間総合計画では、新築は当たり前に耐震等級3相当で設計していますが、リフォームにおいてもそれに近づけるべく、次のことを行っています。
長期に渡り、安心して暮らせる空間づくりのための設計手法です。

①偏心率ゼロを目指す

建築基準法では、0.3以下と規定されている偏心率ですが、私たちは0を目指して設計しています。
偏心率とは・・・建物の重心(平面形状上の中心)を剛心(水平に加わる力の中心)がどれくらい離れているかを%で表したものです。重心と剛心の距離が遠いと地震等の時、建物にねじれの力が働き、倒壊のリスクが高まってしまいます。

②水平構面を強く

一般的なリフォームでは行われない、水平構面の検討も私たちは実施しています。
耐震改修補助金を利用する場合でも水平構面の検討義務は無いため、実践している会社は少ないと思われます。
水平構面とは・・・屋根や2階の床を示しており、壁だけでなくこの水平構面もなるべく強くして一体性を高めることが理想になります。
(火打ち金物の設置、床下全体に構造用合板を張っていく等の処置が効果的です)

③壁直下率の検討

熊本地震の経験から、単純に耐力壁を増やすだけでは、不十分なことが分かってきました。
1階と2階の壁や柱の位置を揃えることで地震によって加わる力を、素直に地面に伝えることが大事です。
壁直下率とは・・・1階と2階とで上下に真っ直ぐつながる柱や壁がどの程度あるのか割合を示したものです。

壁量計算と許容応力度計算

一方、家を建てる際には、確認申請という行政の許可が必要です。
実はこの確認申請の際、木造2階建住宅は4号特例といって、建築士が設計していれば複雑な構造計算(許容応力度計算といいます)はしなくて良いという、何とも不安にかられる法律があるのです。

これが何を意味するかというと、構造上、重要な壁の量はたぶん満たされているだろうから行政はチェックしないよということ。

壁量計算は簡易計算
  許容応力度計算(耐震等級3相当) 従来の壁量計算
建物の重さ 1軒ごと算出 大まかに設定
地震・風圧力 実際の力を算出 実際の2/3の想定
吹き抜け 考慮して構造計算 考慮されない
大空間・大開口 安全性を確認 安全性に疑問
屋上 考慮して構造計算 考慮されない
積雪 考慮して構造計算 考慮されない
歪み・ねじれ
硬さのバランス
安全性を確認 甘い基準

許容応力度計算は、木造3階建て以上や延床面積500㎡以上等の大型建築物では必要ですが、一般的な個人住宅の場合は費用がかかることもあり、行っている会社は少ないのです。

しかし、簡単な壁量計算のみでは、積雪荷重(雪の重み)や構造上の弱点となり易い吹き抜け等、安全性の確認が十分とはいえません。
世の中には簡単な壁量計算のみで、もしかしたらほぼ計算などしないで住宅を供給している利益優先の建設業者も存在するのです。

木造だから、4号特例の建物だから、法律上問題無いから面倒な計算はしなくて良いのでしょうか。
意匠性や収納、設備等にこだわることは大切ですが、家は家族を守るシェルターであり安全性が基本です。

本間総合計画は、許容応力度計算+耐震等級3相当の構造計算を常に行っています。

簡易な壁量計算ではなく、許容応力度計算+耐震等級3相当の構造計算が当たり前にされていくことを願っています。

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