こんにちは。○○です。
一戸建の新築を検討中です。
こんにちは。代表の本間です。
設計事務所は初めてでいらっしゃいますか?
ハウスメーカーの展示場は何ヶ所か廻ったりしたんですが、なかなかしっくり来るところが無くて。。。
でも設計事務所って何だか敷居が高いようで、良く分らないんです。
そうおっしゃる方が多いですね。
私達はハウスメーカーや工務店と同様に見られることがあるんですが、全く違うんですよ。それでは、家づくりのご説明をしながら、我々建築家(設計事務所)の立ち位置についてお話しましょう。
お願いします。
まずこれは、ハウスメーカーと請負契約を結ぶという方法です。一般的に日本では、この方法で建てられることが多いですね。
多くのハウスメーカーは、請け負った工事を地元の専属工務店に下請けに出します。その工務店は各工種ごとに次々と下請け会社(専門工事会社)に外注して工事を完成させていきます。
ハウスメーカーが工事をするわけじゃないんですね。
そうですね。実際に工事をするのは専門工事会社さんです。
また、この方法だと多重下請構造ですので価格は不透明になるし、第三者監理がありません。
次に、工務店による設計施工方式です。
この場合は、工務店と請負契約を結びます。そして、その工務店は各工種ごとに次々と下請け会社(専門工事会社)に外注して工事を完成させていきます。
先ほどのハウスメーカーの場合と同様、下請構造の為、価格は不透明になるし、工務店の倒産リスクもあります。
実際、住宅の新築は、ハウスメーカーで建てる方法と工務店で建てる方法で、全体の約90%以上を占めると言われています。
価格が不透明になるというのは、どういうことですか?
モデルハウスを造ったり、宣伝広告費や営業マンの人件費、サービスといわれる設計料等々、これらを維持していく為に必要な諸経費が適正に表示されていないということです。
その諸経費はどうやってまかなっているんでしょうか?
見積書上では、各工種ごとの金額にまぶされていることが多いですね。
えっ!?
含み益ですね。正直に諸経費として計上するには、あまりにも高額になってしまうからです。
でも、ハウスメーカーや工務店の場合は、窓口が一本なので煩わしさはないし、責任の所在が分かり易いので、すべてお任せがいいという建て主さんには向いている方法だと思います。
次に、建築家が設計監理を、工務店が工事を行う方法についてです。
専業の設計事務所(建築家)が入っているので設計力と第三者監理が発揮されますし、責任の所在が分かりやすいというメリットがあります。
ただ、下請構造なので価格が不透明で工務店の倒産リスクはあります。
ここでまず注目して頂きたいのは、設計監理を建築家と委託契約、工事を工務店と請負契約していることです。
委託契約と請負契約?
この違いは大きいです。
建築家との委託契約は民法上は準委任契約のひとつと考えられていますが、弁護士さんなどのようなパートナー的な立ち位置になります。時には建て主さんの代弁者となり、建て主さんを専門的に支援する役割を果たします。
一方、ハウスメーカーや工務店との請負契約は、請け負った金額(工事契約金額)と実行予算の差額が利益になるのですから、利益を出そうとするとどうしても実行予算を圧縮しようという力が働きやすくなってしまいます。つまり、建て主さんと工務店との間で利害が対立しやすい関係とも言えます。
ハウスメーカーや工務店にもお抱え建築家や設計担当者がいますよね?
彼らは請負契約で設計業務に従事するので、施工する側の事情を優先してしまいがちです。
独立した第三者の立場で建て主の利益を守り、純粋に建て主の立場に立つことが出来るのは、委託契約で業務に従事する建築家だけなのです。
なるほど。立ち場が違うんですね。
また、私達は設計専業ですので図面の密度が違います。
コンクリートの品質をを指定したり、タイルのメーカーや名称・品番も指定します。流し台の仕様も指定します。
こうやってモノを特定することで、誰が施工してもほぼ一定の品質のモノが完成するようになります。また、こうすることで複数の業者さんの入札が可能になるわけです。
キッチンとか自分で選んでもいいんですよね?
もちろんです。
私達は、建て主さんのご要望をお聞きしてこちらからもご提案しますし、担当者が建て主さんとショールームに同行して一緒に選ぶ場合もあります。
収納の多い家にしたいのですが。
私達は造作の収納もデザインします。たとえば、建て主さんが今お持ちの書籍やDVDを収納する棚を造作する場合、今後増えていく量を想定してデザインします。また持ち込みの家具がある場合は図面にレイアウトします。
外構はやってもらえるんですか?
外構も計画します。
植栽や駐車場・フェンスなどですね。
図面を詳細にたくさん描く理由は、主に3つあります。
1つは、使い勝手やデザインを決める為。
2つ目は、正確に積算できるようにする為です。曖昧だと多少、多めに見積もられてしまうことがありがちなので、そうならないようにする為です。
3つ目は、週1回程度の監理でも工事が円滑に進められるようにする為です。
日本弁護士連合会編さんの『家づくり安心ガイド』に、良心的な設計事務所は週1監理をすると記されています。実際、現場は毎日動いているのですが、週1回の監理でも円滑に進められるだけの内容が図面に詳細に記載されていれば可能なのです。
次に、建て主さんによる直営工事です。CM分離発注の原型です。
この方法は、建て主さんが各専門工事会社と直接請負契約を結びます。建て主さんご自身が設計が出来て、適正価格の判断や工程表を組むことが出来るといった専門知識を持っていれば理想的な方法ですし、明朗会計(価格の透明性の確保)であることもメリットです。戦前はよく行われていた方法ですが、建材等の種類が多くなりすぎたのと、法律が難しくなりすぎた為、専門知識や専門工事会社のネットワークを持っていないとうまく機能しませんね。
次に、CM分離発注方式です。これは建築家が設計監理を行い、建て主さんの直営工事をサポートする方法です。
多重下請構造でもなく、中間マージンも発生しにくく、最適化された価格とその流れが見えるし、工事の流れも見える方法です。
ただし、床に傷を付けたのが誰かとか、責任の所在が分りにくい面もあり、様々なリスクへの対応が必要です。
建て主さんと専門工事会社の理解も必要です。
いずれの方法も、一長一短ありますので、お客様にとって一番良いと思われるものを選ばれればと思います。
家を建てるだけでもいろいろな方法があるんですね。
ところで、御社に頼むと、どういった流れで進められるのですか?
事務所での建築相談は原則無料です。中古住宅の検査などで、現地にお伺いする場合は費用を頂いています。また、ご依頼頂く場合はプレゼンテーション業務料として300,000円(税抜)~を頂戴し、基本設計のプレゼンテーションを行います。そこでGOサインが出たらご契約に至ります。プレゼンテーション業務料は、ご契約に至った場合は設計監理料に充当させていただきます。
そして、実施設計→業者選定→工事監理→竣工お引渡しです。例えば、新築住宅の場合、設計に約6ヶ月、工事に約6ヶ月、つまり設計から竣工まで約1年程度かかる方が多いです。店舗やリフォームなどの場合は、設計に約2ヶ月、工事に約2ヶ月程度でおさまるケースもあります。
CM分離発注が自分に合う方法なのかは、最初は分りませんよね。
そうですね。私達の事務所では、最初の設計契約は一般的な工務店一括発注方式を前提として行います。
工事を工務店一括発注で行うのか、CM分離発注で行うのかを業者選定段階までに決めて頂ければ良いのです。
CM分離発注で工事を行うことに決定したら、CM分離発注業務の追加委託契約をして頂きます。
つまり、基本設計や実施設計を行っている設計期間を利用して、CM分離発注のメリットやデメリットを詳しく質問できるんですね?
そうです。
ですから、私達の事務所では、2段階に分けて委託して頂くことにしているのです。
分かりました。
検討したいと思います。有難うございました。
こちらこそ有難うございました。
住宅は、衝動買いするものではありませんので、ゆっくりと時間をかけてお考えになってから進められたほうが良いと思います。