国家を挙げた農村再生戦略として四川省の農村産業の活性化や人材の活性化、文化振興、生態系の保全・再生、組織の活性化を図るプロジェクトが発足した。
四川省は竹が有名な省であり、竹産業をさらに発展させ、農村地域に新たな美しさの発見と、活力を与えられることが求められた。
プロジェクトエリアは四川省宜宾市長寧県永江村に位置し、全体の面積は約1,200ha の計画である。本案件以外にもレストランやホテル、その他レジャー施設などが計画されている。
■顧客センターの概要
プロジェクトの顔となるべき重要施設であり、現代中国にふさわしい「中国的新建築」とも言える高いデザイン性が求められた。
中国の長い歴史の中で、人々は生活のあらゆる面で竹と関わり、多彩かつ独特な竹文化を育んできた。その竹文化の伝統を踏襲しつつも、空間・形状・材料などに機能性と現代的な演出を加え、「中国的新建築」を表現した。
建物内はメインの受付や事務所、会議室、カフェ・休憩コーナー、竹製品の展示・販売コーナーなどから構成される。また中央には多目的スペースが設けられ、多様な催し物にフレキシブルな利用が期待できる。
中国の伝統文化である「曲水流杯」を動線計画の糸口とした。「曲水流杯」とは宋時代の有名な詩人である黄庭堅が創めたとされる遊宴。曲折した水流に杯を浮かべ、その杯が自分の前を通り過ぎないうちに詩を作り、杯を取り上げ酒を飲んだ遊び。後に王朝時代の日本にも伝わった。
初夏から秋にかけて竹林に群生するキヌガサタケをデザインの糸口とした。
キヌガサタケは白いレース編みのマントをまとったような姿から「キノコの女王」とも呼ばれ、中華料理の高級食材としても有名である。
竹に寄り添うように成長する様を背後の竹林にイメージを重ね合わせた。
【左上】椅子に見立てたボリュームを配置し、通路で「曲水流杯」を表現 【左下】敷地にボリュームを配置し、背後の竹林に合わせてボリュームの配置を調整 【右】配置図
受付
展示コーナー
多目的コーナー
中庭
オープニングセレモニー
主要用途 | 顧客センター |
建築場所 | 中国四川省宜賓市 |
敷地面積 | 1,512㎡ |
延床面積 | 500㎡ |
構造 | 鉄骨造 |
設計 | ㈱本間総合計画 |
竣工年月 | 2020/3/15 |