海外プロジェクト

夢想改造家(打开心门的家)~中国のリフォーム番組~

脊髄性筋委縮症(SMA)患者の住まい改善

概要

脊髄性筋委縮症(SMA)の娘を父母が介護する親子3人家族の住まいの改造である。
築30年を超える公営住宅に住む家族にとって、この家は多くの問題を抱えていた。
娘は日常生活の多くを両親の助けに頼らざるを得ない状況である。
電動車椅子で移動する際に壁に手をついて支えにする習慣があるが、室内の角が多く動線が複雑で移動が困難だった。
娘は過去に家の中で4回も深刻な転倒事故を経験しており、これが病状の悪化を招いていた。
さらに高齢化していく両親を見て、将来を悲観した娘はどんどん心を閉ざしていった。


■脊髄性筋委縮症(SMA)とは

出典:帝人株式会社 NsPace 脊髄性筋萎縮症(SMA)https://www.ns-pace.com/article/category/feature/a3410/(参照2024-4-17)

<注意すべき主な症例>
特に重要なものとして、呼吸に関する症状、食べることや飲み込むことに関する症状、体の動きや姿勢に関する症状がある。
●呼吸機能の低下
・呼吸が苦しくなる。咳が弱い、できない。
●嚥下機能の低下
・食べ物を飲み込みづらい。かむ力が弱く、食事で疲れやすい。
●関節拘縮
・関節を伸ばせない、曲げられない。
●側弯
・背骨がうねるように曲がる。


■現況における課題

現況平面図

■課題の整理
1. 家の中が暗く湿気やカビの問題が深刻で、天井の剥落・壁の剥がれ、漏電・漏水のリスクなど安全上の問題があった。
2. 娘は壁を支えにして移動する習慣があったが、室内の動線が複雑で移動が困難だった。特に16cmもあるリビングとテラスの段差が、車椅子での移動を不可能にしていた。娘の自立範囲を広げるためには、動線計画・ゾーニング・設備計画の見直しが必要だった。
3. 収納に貯めこむ癖があり、いたる所に物が大量に詰め込まれていた。


●家族の生活リズムの分析
平均的な日常を見ると、父が早朝から夜まで仕事と家事と娘の介護に追われていて、母は終日、娘の介護にあたっているのが分かる。両親の負担を軽減するには、娘の自立支援を促すきめ細かな配慮が必要である。

■対応策
1. 合理的な内装の改造
2. ご家族の支援の環境を整える
3. 様々な工夫
4. 適切な医療情報の提供

改修計画を始める前に、娘の健康状態を詳しく把握するため専門的な健康診断を実施した。日本の島根リハビリテーション学院とも遠隔で連携し、今後のリハビリを踏まえながら娘の具体的なニーズにきめ細かく対応できるように、その結果を設計の手がかりとした。

■合理的な内装の改造
・家の解体後、過去の改修で複数の構造壁が取り除かれていることが判明した。一階であるのに致命的な耐力壁の欠損であったため、ある程度の面積を犠牲にしてでも構造の補強を優先し、安全性を確保した。
・高湿の原因は排水管からの漏水だったため、排水管を交換した。

【左】トイレから娘の部屋を見る 【中】娘の部屋/奥の引戸から中廊下を通ってトイレに通じる 【右】娘の部屋

・遠回りだった娘の部屋とトイレまでの動線を、直線かつ最短距離にした。

 
 

【左】ダイニング→ユーティリティ→キッチンとひとつながりの動線 【右】ダイニングからキッチン方向を見る

・キッチン→ユーティリティ→ダイニングとひとつながりの動線にした。

キッチン/カウンターは飛行機の窓ガラスと同素材の強度を持つ。流し台の高さを調理担当の父に合わせ高くした。

 
 

●心の壁を開く
娘は心理学を学んでいたが、健康上の理由で職に就くことが叶わなかった。高齢化していく両親を見てますます心を閉ざしている状況から、今回は特に、物理的な環境の改善だけでなく、娘の内面への配慮が必要であると判断した。
そこで番組の司会者に協力を求め、前回の相互依偎的家のFSHDを患っていたクライアントと対面する機会を設け、リフォーム後の生活状況を話しながら激励することで、心理的な支援を行った。

■ご家族の支援の環境を整える
●娘の自立の範囲を拡げる → 家族の負担を減らす

【Before】リビングとテラスの16cmの段差 【After】段差を解消し、開口が大きくとれる3枚引戸によって車椅子で自由に移動できる

クラックが入り脆弱だったテラスの壁を補強し、防水処理を施した。また、リビングとテラスの段差を解消した。
さらに、水密性が高く暴風雨にも強い天井とテラスサッシに変更し、開口が大きくとれる3枚引戸とした。

【左】テラス/天井に電動ブラインドを設置している。壁面収納は、普段履かない靴の収納もできる。 【右】洗濯機をテラスに設置したことで、干す作業も楽になる。

【左】縦型手すり・・・右側の壁に設置した握る部分が円形の手すり 【中】横型手すり・・・娘が移動する際に肘を乗せやすいように、握る部分が逆三角形の手すり(家族3人の平均の高さ) 【右】ライン状手すり・・・シャワー等の立ち上がりを補助する、人間工学的に握りやすい楕円型の形状

3種類の手すりを適材適所に設置した。すべて抗菌・抗ウイルス処理済み。


■様々な工夫
・島根リハビリテーション学院にてSMA患者である娘の症状を相談し、誤嚥防止・嚥下や呼吸機能を補助する補装具や日常生活用具を調達した。
・娘の症状に沿った日本製の介護ベッドを選定し、自立支援を促した。
・断捨離の提唱者であるやましたひでこ氏の協力を得て、いたる所に貯めこまれた収納物を整理した。

娘寝室/車椅子で足元側から乗り降りが可能なベッド

■適切な医療情報の提供
・上海瑞金リハビリテーション病院にて、日本で調達した補装具や日常生活用具等も活用しながら、娘に直接リハビリ指導を受けてもらった。

【左】リビング/充実した壁面収納  【右】壁面の横ラインは棚受けも兼ね、自由にレイアウト可能

内装の塗装は、抵抗力の弱い人に配慮した植物エキスと銀イオン配合の抗ウイルス性で、11種類の細菌とカビに抵抗し有害物質を分解しながら空気中のニオイも除去する。

また、リビング・寝室・サニタリーの3箇所の天井にセンサーを設置し、万が一、転倒した際は父の携帯電話に連絡される。

ダイニング/ダイニングテーブルの天板を電動車椅子が入りやすいように薄くしている

夫婦寝室/隣の娘寝室との間にはガラスブロックと引戸を設置し、遮音カーテンも施している。 テラスからも段差無く出入り可能で、回遊性のある動線。

改修後平面図

プロジェクト概要

家族構成 3人(父(59)・母(59)・娘(32))
主要用途 集合住宅
主な建築場所 中国上海市
延床面積 84㎡
竣工年月 2024年9月

Contact無料お問い合わせ・資料請求

仙台本社

〒981-0933 宮城県仙台市青葉区柏木一丁目3-12-111
TEL:022-346-1388 FAX:022-346-1387 Mail:info@hom-ma.co.jp

上海事務所:虹夢建築咨詢(上海)有限公司

中国上海市长宁区茅台路1068号天祥大厦706室
TEL:186-1690-5276(Una手机)Mail:615709806@qq.com

無料相談会実施中!

流れや予算について、具体的に御相談致します。

建築無料相談はこちら

資料請求

作品一覧をお送りします。お気軽にお問い合わせください。

資料請求はこちら