中国金茂は、中国国有企業の大手不動産デベロッパーです。2021年、顧客を起点としたニーズの変化を探求し、テクノロジーと融合させて新しい不動産の商品やサービスに反映させる研究機関として、中国金茂リビングラボが設立されました。
今回、中国金茂リビングラボ製品研究開発チームの最初のプロジェクト『Z世代の新しい生活モデルの研究』に参加しました。これは、中国のダブルカーボン目標(2030年までに二酸化炭素排出のピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルの達成)と中国金茂のデジタル変革という二つの背景を受けた研究プロジェクトです。
統計によると、Z世代は世界で最も人口の多い世代であり、2031年までに世界の収入の25%以上を占めると言われています。
今回の事例では、今後の主力購買層であるZ世代の生活ニーズに焦点を当て、それに基づいた可変住宅の研究開発と技術モデルの作成を通じて、若者の理想の住まいの未来像を探りました。
■Z世代のニーズの傾向
市場調査と実証を幾度も重ね、Z世代のニーズの傾向が導き出されました。
・自宅に快適なワークスペースを望んでいる。
・様々なオンラインプラットフォームに住み、可能な限りのサービスを在宅で享受したい。
・興味のあることに没頭し、制約が無いスタイルと効率的で多様性のある空間を求めている。
・自立を求めつつも共に過ごしたい人との交流を大切にする。
・動画配信やコレクション、パーティー等は、彼らの生活の重要なシーンとなっている。
・軽食やスマート家電が人気で、電子レシピの需要も高い。
■研究結果を生活シーンごとに反映(小空間の多機能化)
Z世代のニーズと概念を反映させた空間づくりのために、徹底した収納の工夫と、多機能テーブル、マルチスクリーン、オール電化キッチン、ミニキャビン等を装備し、小空間の多機能化を実現しました。
●多機能テーブル
LDKの中央に位置し、バー・ダイニング・アイランド・クッキング・オフィス・ボードゲーム等の機能を統合した多機能複合テーブルです。テーブルの高さも自由に調整可能です。
高さを調整して着座・立食など食事用テーブルだけでなく、デスクワーク時は片方をスタンディングデスクとしても利用できます。天板にワイヤレス充電・インタラクティブプロジェクション等の機能も組み込まれています。
●マルチスクリーン
1つのクラウドに複数のスクリーンを配置したデジタルホームシーンです。生活空間のあらゆる場所に設置されたディスプレイ画面が、感情や思考を伝達します。
・ミニキャビンのディスプレイ及び大型ホワイトボード
・健康管理情報を可視化するマジックミラー
・フィットネスミラー
・コレクションを表示するLEDスクリーン
・インテリジェントコントロール用の大型端末スクリーン
・多機能テーブル天板のインタラクティブプロジェクション 等
マルチスクリーンがデジタルでの自己表現やコンテンツの共創をサポートすることで、没入型の空間体験がもたらされます。
●オール電化キッチン
仲間内で集まって料理できるLDK一体型(キッチン・ダイニング・リビング一体型)キッチンは、機能的で洗練されたソーシャルスペースになります。今回、特別に開発されたIHクッキングヒーターは、2,500kWで鍋底を均一に加熱できる仕様で伝統的な中華料理のニーズにも対応しています。
さらに、分散排煙・集中排気システムを取り入れ、排煙時に発生する騒音や油汚れを低減しました。また、多機能テーブル上の照明は、油煙フィルターと脱臭モード機能も備え、煙の排出と臭気汚染を低減します。
オール電化キッチンは、若者の環境に配慮した低炭素生活のニーズを満たすだけでなく、中国のダブルカーボン目標にも適合しています。
X空間は、多様な趣味の空間です。コレクション陳列棚の他、動画配信機材やフィットネス器具等がコンパクトに収納されて
います。また、壁面にはフィットネスミラーや健康管理情報をリアルタイムに可視化するマジックミラーも装備されています。
●ミニキャビン
モジュール型クラウドソーシャルスペースです。照明・音楽・マルチメディア・可変家具など様々なシステムをコンパクトにまとめています。ホームオフィス・フィットネス・ゲーム及びベッドルームなど多様なモードに変換できます。
主要用途 | 実証エリア モデルルーム |
主な建築場所 | 中国北京市 |
延床面積 | 100㎡ |
竣工年月 | 2022年1月 |